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女子二人、駄弁る。

-とある喫茶店

【ユイ】旅行?


【クミ】そう。 旅行。


【ユイ】なんでいきなり。


【クミ】ほら、最近色々あったじゃん?


【ユイ】まぁ…そうだけど。

 

【クミ】んじゃあ、決まりね。

 

【ユイ】待って。 場所とかは決めてるの?

 

【クミ】それは、これから決めるんだけど…。

 

【ユイ】候補くらいあるでしょ?

 

【クミ】うーん…昨日思い付いたからなぁ。

 

【ユイ】気ぃ遣ってくれてるの?

 

【クミ】親友を名乗れるくらいには仲良いと思ってるよ。

 

【ユイ】…ありがと。 何か頼もうか。

 

【クミ】うーん…ミルクティにしようかな。

 

【ユイ】私どれにしよう…あ、すいませーん。 ミルクティと…ピーチティをお願いします。 はい、以上で。

 

【クミ】さて、場所はどうしようか。

 

【ユイ】…。

 

【クミ】ユイ?

 

【ユイ】…星を、見に行こう。

 

【クミ】…星?

 

【ユイ】…えっ?

 

【クミ】えっ? って何? 星が見たいって。

 

【ユイ】私そんなこと言った?

 

【クミ】言った。

 

【ユイ】マジ?

 

【クミ】マジ。

 

【ユイ】…はぁ~。

 

【クミ】何よ。

 

【ユイ】いやね、タケル君にも言われたんだよね。

 

【クミ】いつ?

 

【ユイ】一昨日。

 

【クミ】ユイ、ユウタと別れたのって…?

 

【ユイ】先週。 偶然、話す機会があってさ。

 

【クミ】うわぁ。 絶対狙ってるって、それ。

 

【ユイ】でもタケル君、いい人だからなぁ。

 

【クミ】それで、行くって言ったの?

 

【ユイ】ううん、ありがとう。 とだけ。 流石に、昨日の今日で はいどうぞとはならないよ。

 

【クミ】そうだよね…あいつ、油断も隙もあったもんじゃないな。

 

【ユイ】でも、ちょっと嬉しかったんだよなぁ。

 

【クミ】星を見に行こう、が? クッサー。

 

【ユイ】傷心には染みるんだって。

 

【クミ】それは わからなくもないけど。

 

【ユイ】はぁ…無意識に呟いてしまったか。

 

【クミ】てか、「も」って?

 

【ユイ】も?

 

【クミ】タケルに「も」言われたって。

 

【ユイ】あ~…無意識に呟いてしまったか。

 

【クミ】意識をしっかり! え、他にも言われたの?

 

【ユイ】…サガミ君。

 

【クミ】サ、ガ、ミ! あいつはダメだよ! たらしだもん!

 

【ユイ】いい噂は聞かないね。

 

【クミ】あいつ飲みサーにいるじゃん?

 

【ユイ】うん。

 

【クミ】そこにいる大半の子は被害にあったって話。

 

【ユイ】聞いたことある。

 

【クミ】それにこの前なんか、オカ研のメガネっ子にちょっかい出してたらしいよ。

【クミ】守備範囲広すぎかって。

【ユイ】でもあの子、メガネ外すとかわいくない?

【クミ】そうなの? 見たことないけど。 かわいくてもオカ研ってなんかアレじゃない?

【ユイ】んまぁ、ちょっと近寄りがたいね。

【クミ】黒魔術とかで呪ってやればいいのに。

【ユイ】その子とちょっと話したことあるけど、根暗な感じはしなかったからなぁ。 以外と性格みてるのかも。

【クミ】性格と明るさは別物だよ?

【クミ】明るい性格とは言うけど。 明るくても性格悪い奴なんかいっぱいいるし。 その子はどうなのかわからないけど。

 

【ユイ】普通の子だよ。

 

【クミ】もしかして、けっこう仲良し?

 

【ユイ】講義で何回か隣になったことあるから、あいさつくらいはするよ。 連絡先は知らないけど。

 

【クミ】へぇー。 なんて子?

 

【ユイ】ミホちゃん。 佐久間(サクマ)…だったかな?

 

【クミ】佐久間ミホかぁ。 聞かない名前だね。

 

【ユイ】基本的に大人しい感じだからね。 派手じゃないというか。 真面目というか。

 

【クミ】でもちょっと気になっちゃうなー。 今度連絡先聞いてきてよ。 かわいいなら会ってみたい。

 

【ユイ】ナンパなやっちゃなぁ。

 

【クミ】友達は多い方がいいじゃん?

 

【ユイ】まぁ…変な子じゃないし、聞いてみるか。

【クミ】よろしくー。

 

【ユイ】あ、来た。 ミルクティはそっちで。 はい、ありがとうございます。

 

【クミ】ところでさぁ、オカ研にすごいイケメンいるの知ってる?

 

【ユイ】オカ研興味ないんじゃないの?

 

【クミ】それとこれは別だよ。

 

【ユイ】え…誰だろう。

 

【クミ】なんだっけなぁ。 ほら、あの背の高い…。

 

【ユイ】んん?

 

【クミ】細身の…。

 

【ユイ】んー?

 

【クミ】いるじゃん、イケメン。

 

【ユイ】イケメン…。

 

【クミ】あぁもう、わかんないかなぁ。

 

【ユイ】…マカベさん?

 

【クミ】あー! そうそうそう! そんな感じの人! あの人、めっちゃかっこよくない?

 

【ユイ】あの人OBだよ。

 

【クミ】え、ウソ! マジで!

 

【ユイ】マジ。 だいぶ前の卒業生らしい。 ちょこちょこ顔出しに来てるみたい。

 

【クミ】誰情報?

 

【ユイ】ユウコだったかな。

 

【クミ】ユウコ イケメン好きだからなぁ。

 

【ユイ】確かに見た目はいいけど。

 

【クミ】ちょっと話てみたいなー。

 

【ユイ】やめておきなよ。 クミもイケメン好きだなぁ。

 

【クミ】マカベさんと、ちゃんミホはオカ研でしょ。

 

【ユイ】ちゃんミホって…うん。

 

【クミ】ユイは、ちゃんミホと友達になりたい。

 

【ユイ】まぁ。

 

【クミ】私は、マカベさんとお近づきになりたい。

 

【ユイ】はい。

 

【クミ】ほら。

 

【ユイ】ほら。 じゃないよ。 ショウ君がいるでしょうが。

 

【クミ】別れた。

 

【ユイ】は!? いつ!?

 

【クミ】先月。

 

【ユイ】ちょ…言ってよ! なんで?

 

【クミ】うーん。 なんか、飽きちゃった。

 

【ユイ】飽きちゃったって…順調だったじゃん。

 

【クミ】端から見たらそうだったのかもしれないけど、結構ケンカ多くなってたし。 その…ケンカの流れで…。

 

【ユイ】はぁ~もったいない。 お似合いだったんだけどなぁ。

 

【クミ】いいやつでは あったんだけどねぇ。

 

【ユイ】その割にはアッケラカンとしてるね。

 

【クミ】先月の話だし。 フッた側だし。 私は次の恋に向かうのだ。

 

【ユイ】それでマカベさん?

 

【クミ】そ。 悪くないと思うんだよね。 まずはお友達から。

 

【ユイ】私を使う分にはいいけど、ミホちゃんをダシに使うのはなぁ。 顔見知りってだけだし。

 

【クミ】とりあえず、ちゃんミホとご飯か、飲み行こう。 事情は私が説明するからさぁ。

 

【ユイ】マカベさんのこと?

 

【クミ】そうそう。

 

【ユイ】まぁ、ご飯に誘うくらいならいいか。

 

【クミ】飲みにしよう。 酒の力を借りよう。

 

【ユイ】お酒飲めるかなぁ。 まぁ、その辺も聞いてみるよ。

 

【クミ】よろしくー…あ、そうそう。 そういえばショウがさぁ、最近ちょこちょこ連絡してくるんだよね。

 

【ユイ】そうなの?

 

【クミ】一応返してるけど…それでまたケンカになる。 連絡してくるなって言ってるのに。

 

【ユイ】大好きかよ。

 

【クミ】私はもう、その気ないけどね。 いつまでも恋人気分で困る…ん…ほらまた。 言ってるそばから。

 

【ユイ】ほんとだ。

 

【クミ】あ、やば。 開いちゃった…スルーするか。

 

【ユイ】開いたら返事してあげなよ。 かわいそうじゃん。

 

【クミ】めんどくさいなぁ。

 

【ユイ】いいから、いいから。

 

【クミ】はぁ…うわ。

 

【ユイ】何?

 

【クミ】見てここ。

 

【ユイ】…客観的に見たらウケるね、それ。 冷静に考えたらないわ。

 

【クミ】出たよ。 星を見に行こう。 流行ってんの?

 

【ユイ】知らない。

 

【クミ】なんて返そうかな…なんか面白い返しない?

 

【ユイ】なんで面白さを求めるのよ。 うーん…雨は止まないでしょう、とか。

 

【クミ】あー…なんか適当でいいね、それ。 採用。 雨は止みません、一生ね。 っと。

 

【ユイ】なんか足されたけど。

 

【クミ】…もう返事来た。 ちょっとよくわからない、だって。

 

【ユイ】スルーで。

 

【クミ】そだね。 そういえばさ、何の話してたんだっけ?

 

【ユイ】最初?

 

【クミ】最初。

 

【ユイ】なんだっけ? ミホちゃんだっけ?

 

【クミ】いや、その前。

 

【ユイ】ユウタと別れた?

 

【クミ】もうちょっと前。

 

【ユイ】タケル君が出てきた気がする。

 

【クミ】そうだっけ?

 

【ユイ】…あ、旅行?

 

【クミ】そうそう! どこ行こうかって話。

 

【ユイ】あぁ…そうだね。 どこ行こうか。

 

【クミ】じゃあさ…星、見に行く?

【ユイ】星かぁ。

【クミ】嫌なの!? え、私悲しい!

 

【ユイ】嫌じゃないよ。

 

【クミ】ボケだけどなんか悲しい! タケルに負けてる!

 

【ユイ】タケル君出てきてたね。

 

【クミ】ほんとだウケる。

 

【ユイ】温泉も行きたいなぁ。

 

【クミ】(イケボで)温泉、入りに行こう。

 

【ユイ】いや、ド直球。 ヤル気満々じゃん。

 

【クミ】星見ようのほうが、よっぽど健全に聞こえるね。

 

【ユイ】ほんとそれ。

 

【クミ】じゃあ、温泉入ったあと…。

【ユイ】(イケボで)星を、見に行こう。

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